『夏休み』(1)

オリンピックも始まり、夏休みが始まった。

それと同時に、海開きもされ、公共の屋外プールも解放され、真夏日の続くこの連休は、毎日、涼を求める人で賑わった。

区から運営を託された民間の団体の求人を見て、リモート尽くしで暇を持て余していた大学生活に嫌気がして、高校時代に水泳部の先輩に憧れて購入した透け透けの競パンは実家でオナニーのためだけに履いただけで、一度も他人の目線を直に浴びることなく、クローゼットに仕舞い込んでいたのを思い出した武は、ふつふつと淡い期待をしながら、監視員のバイトを始めた。

民間の小さな団体ゆえ、お揃いの制服や競パンなどはなく、唯一、お揃いのTシャツの下の水着は、各自持参のものを履く決まりだった。

いわゆる、エロ目的で、ホモ御用達な競パンサイトで見つけた透け透けの競パンや、今時、実際は履いてるのも希少な赤や黄色にRESCUEと描かれた、まんまそれとわかるデザインの競パンなど、オカマ丸出しなエロ競パンを公共の場で堂々と履けるとあって、初日から胸が躍った。

大学2年の武は、地元を離れ、神奈川の大学に通うため初の一人暮らし。とはいえ、六畳一間のボロアパートは、階段が錆びてうるさい二階建てで、一階と二階、それぞれ3部屋ずつ。武は一階の真ん中で、両隣は大家ファミリーで、大家のヨボヨボな爺さんと、禿げ散らかした大家の息子のバーコード親父の部屋に挟まれていた。

各駅しか停まらないが駅近なのに、なぜか格安で出ていた物件、その理由は、部屋に入ると分かった。線路沿いのボロアパートで、すぐ目の前を電車が通るたびにガラス窓がガタガタと音を立て、便所は今どき和式タイプ、エアコンは窓横に取り付けられた室外機のない一体化タイプで、涼しい風が出ているのかどうか、扇風機よりはマシくらいの年代物。土塗りの壁は所々、抜け落ちて、よく見ると隣の部屋が覗けるくらいの穴まである。とても、綺麗とは言えず、おそらく女性ならこの値段でも御免となるような骨董品のような物件だったが、武は、なぜか、それが魅力的に見え、すぐにここに決めたのには、もう一つ理由があった。

ある程度、下調べをしてから駅前にある親父が一人できりもりしている地元ならではの不動産屋の前に張り出されたおすすめ物件の中にこのボロアパートの図面を見つけた武は、入居前に確かめたかったことを実行するため、何度かボロアパートをひとりで下見に訪れた。

上下ピチピチの白いアンダーアーマーを着ながら、自転車を手で押しながらスマホ片手に地図を見ながら、探し物をする振りをして、アパートの前で汗を拭っていると、ちょうどヨボヨボの大家の爺さんが庭木に水をやりはじめた所で、こちらに気づくと、勢いよく出だしたホースごと、こちらを向いたせいで、俺の身体に水飛沫が舞った。あわてて、止めようとするがうまく身体が動かない爺さんがアタフタしている間に、ホースが暴れて、俺の頭や胸、そして、ちょうど股間あたりまでもがずぶ濡れとなった。

ちょうどその時間になると、水やりをしていることもリサーチ済みだった。

わざと、庭木の近くに隠れ、ホースの水がかかりやすい位置で爺さんを待っていたのだ。そこで、わっと驚かせて、あたふたしたところを狙う作戦は見事に成功した。

「すまん、すまん、すまんかったな、ごめんよ。」と、ようやく蛇口をひねり水を止めた大家の爺さんは首にかけていたタオルで俺の身体を拭こうと詰め寄った。

「こんなビッショリじゃ、申し訳ないね。ちょっと休んでいかないか、ここの大家でな、そこがすぐワシの部屋じゃで、自転車おいて、ちょっと上がってってくれないか、バスタオルをあるで、」と、予想した通りの展開に胸が躍りながらも、照れ臭そうに、そこまで言うなら、ちょっとだけと、ボロアパートに足を踏み入れた。

植物の世話をするのが好きなのか、玄関先からベランダまで盆栽やら小さな草木をたくさん鉢に入れ育てている穏やかそうな爺さんの部屋は一階の一番奥の部屋で、上がるとすぐ台所と六畳一間の簡素な作り。おそらく、どの部屋も同じレイアウト。部屋と部屋の間に和式の便所だけあり、風呂は大家と大家の息子の部屋にはあるが、真ん中の部屋は風呂無しだった。

「築50年超えるオンボロアパートだが、ここの大家なんじゃ」と説明を受けると、バスタオルを手渡しながら、壊れて動きそうにない皮も剥げてボロボロの年季の入ったマッサージチェアを指差し、そこへ座ってくれと、部屋の中で唯一のイスである、その壊れたマッサージチェアへ腰掛けるよう促された。

濡れたままでは申し訳ないと、タジタジしていると、それ脱げるなら乾かしておくから、バスタオルでも巻いて座ってくれと言われ、恥ずかしいが、それでもいいならと腰巻きにしたバスタオルでマッサージチェアへ腰掛けた。

ちゃらんちゃらんと氷の音がすると、冷たい麦茶を入れてくれた爺さんが、マッサージチェアの前にあるちゃぶ台を挟んで、真向かいに座るなり、茶菓子もなくてすまないね、と言いながら麦茶を飲みつつ、世間話を続けた。

「ここには別の部屋に息子が住んでいて、その他は貸してるんじゃが、隣の部屋だけ、またま空きのままで、このご時世で風呂もないから、なかなか借りてはつかないよ」と。

そんな話をしている時に、隣との壁に空いた小さな穴から漏れていた光がなくなり、黒い何かで塞がれたような気がした。

ちょうど俺の股間の高さと同じあたりに空いた穴。色々話をしてくる爺さんの後ろにポツポツと空いた穴から、光が刺したり、消えたりしているのを確認した。

ベランダに干してくれているウエアの渇き具合を見に、爺さんが席を立ち、ついでに小便に行くというので、その間に、壁穴の近くまで行くと、向かいの部屋でガサっという音がしたが、うまく穴の空いていない壁に隠れたのか、穴から覗いても人は見えなかった。だが、薄い壁ゆえに人のいる気配だけはして、息を殺して、じっと静かにしているような気配だけは感じ取れた。

爺さんが便所から戻ると、マッサージチェアに戻り、少し大胆に大股を広げて、背伸びをするように後ろに大きく伸びをしながらもたれ掛かると、古びたマッサージチェアの背もたれが45度ほど倒れて天井が見えた。

これは気持ちいい、と天を仰ぎながら、半ば仰向けで寝そべるような体勢となり、大きく開いた足元を隠していたバスタオルがはだけて、デレんと伸び下りた武のイチモツが、まんまそのままありのままの姿で爺さんとその向こうの穴からも、丸見えとなっていたが、爺さんは、そのままの状態でイチモツの位置を確認しながら世間話を続けて、武は軽いあいづちだけを打ちながら、なぜか、眠たさに負けて、寝入ってしまった。

ふと、気づくと、少しばかり暗さが増し、窓からは綺麗な夕暮れが見えた。

「ごめんなさい、、寝てしまったみたいで」と、言うと、「いえいえ、気持ち良さそうじゃったから、起こさぬまいと、ね、いや、いいんだよ、そのオンボロでもなかなか気持ちいいじゃろ。ワシも良くウトウトしてな、なかなか、気に入っとるんじゃ。」と話すと、すっかり氷の溶けたコップへまた麦茶を注ぎに台所へ消えた。

すると、巻いていたバスタオルが無くなっていて、チンポが半勃ちのまま、少し濡れて光っているような気がして覗きかけると、

「若いっていいねぇ、元気に真上向いてそそり勃ってたよ。久々に、いいモン見せてもらったわい」と、少し悪ふざけたようなかわいい笑顔を見せながら、代わりの新しいタオルを武に渡しながら、少しシャワーでも浴びて帰ればいいと、風呂場へ案内された。

バランス釜に剥がれ落ちたタイル張りの風呂場で軽くシャワーを浴びていると、すぐ横の便所に爺さんが入ったのがドアの音でわかった。

風呂場と便所の間にある壁も、所々抜け落ち、ちょうど股間あたりのタイルの割れ目から、こちらの裸体をまん丸にした瞳で一点を追いかける爺さんが居るのを直感で判断したが、何も気付いていない振りをしながらも、わざと、見えやすい位置と角度を気にしながら、ゆっくりゆっくり固形石鹸を陰毛に擦りつけて泡立てながら、少しテカッて他人のツバの香りがほんのりとする武の亀頭に泡を被せながら、さっき爺さんに見せつけていたデカマラなチンポをもう一度目に焼きつけさせようと、目を閉じ、股間に集中して、やらしく手を動かしながら、下舐めずりしながら凝視する爺さんによく見えるように、腰を落としながら、ゆっくりゆっくりと扱き始めた。

その頃、風呂場の窓に映る人影が右から左へ一瞬で消えた。洗い場が狭いので、湯船の中で立ちながらシャワーを浴びる武のちょうど胸元あたりくらいの高さにある小さな木枠で出来た建て付けの悪い窓には、一回り丈が短いカーテンがかかっており、風のない夕暮れに片方の窓を全開にすると、カーテンの下に数センチあいた隙間からシャワーを浴びる武の股間は外からも丸見えで、自分の姿が映らないよう隠れているものの、顔だけは窓に近づけて、鼻息荒く覗き込む男がいるのを武は感じていた。

便所から覗き込む大家の爺さんと、大家の息子であろう男が窓から覗き込む中、大胆にも、少しわかりやすく声を出しながら、黙々とチンポを扱く武。もっと、もっと、もっと俺を見てくれと、シャワーの音にかき消されながらも、真上にそそり勃つ血管の浮かび上がった男の勲章を左手で扱き上げながら、右手が乳首に触れた瞬間、ドバドバドバっと、勢い良く、この部屋で2度目の射精を終えた武だった。